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 (昭和51年)

「4トラック・ダイレクト・ドライブ」

4トラックオープンテープデッキ
DH-630S
\295,000

■1976年11月



新製品DH-630Sは、放送機、業務用機器の技術をいかした高級ステレオテープデッキDH-610Sを4トラック用にしたもので、変調雑音や、ワウ・フラッターの低減を行ない、忠実度の高い録音、再生を実現する4トラック専用オープンデッキです。

DH-630Sはダイレクトドライブ(ACモーター)による1キャプスタン方式に、テープに理想的な条件を与える電子式テンションサーボ(バックテンション)の採用により安定したテープ走行を図り、しかもテープの安全性にも十分配慮しています。
ヘッドや録音、再生アンプ、操作性などにもDENONの最新技術が活かされ、特にテープの特性を最大限に活かすバイアス・イコライザーの連続可変調整方式はDH-710F/610Sと全く同じです。
より高い性能を追求したDH-630Sは、変調雑音やワウ・フラッターの低減と高SN比、低歪率を実現し、極めて忠実度の高い音質を得ていますので、高度なオーディオマニア、音楽ファンの方々に十分満足していただけるものと確信いたします。


本機の特長

DH-630Sは、1キャプスタンでありながらテープの安定した理想的なテープ走行を追求し、しかもテープ特性を最大限に活かすユニークな設計で4トラック専用高級オープンテープデッキです。

●業務用機の技術と経験が活きている高信頼性メカニズム

1)ダイレクトドライブキャプスタン駆動方式で安定したテープ走行

キャプスタン駆動には、スピード検出に磁気記録再生方式(DH-710/710Sと同じ方式)を採用したサボ方式によるダイレクトドライブ方式を使用しましたので、回転ムラや振動が少なく、ワウ・フラッター(19cm/s時0.03%以下)変調雑音などの特性が非常に良くなっています。

2)電子式テンションサーボの採用(バックテンション)

テンションサーボの採用により、録音、再生時におけるバックテンションを一定に保ちヘッドタッチを安定に保ちます。
このため、録音、再生時における供給側テープの巻径によるテープスピードの変動や、ワウ・フラッター及び変調雑音の増加がありません。
早送り、巻き戻し時もテープ張力は一定に保たれ程よい硬さでリールに巻かれます。

3)テンションアームとインピーダンスローラーの採用でワウ・フラッターは2キャプスタン並み

高感度テンションアーム、インピーダンスローラーの採用で、リールの巻ムラやリールモーターの振動による高い周波数の振動をも防いでいますので、ワウ・フラッターは非常に少なくなっています。

4)スクレープフィルターで変調雑音を低減

スクレープフィルターの採用により、テープの縦振動による変調雑音を減少させています。
このためダイレクト・ドライブの特長とあいまって忠実性の高い音質が得られます。
また、テープ走行状態やヘッドタッチも常に安定しているため、チャンネル間の位相の変動は非常に少なくなりますので、ステレオ定位は大変明確になります。

5)業務用に使用されている高性能パーマロイヘッドを採用

トラック巾の広い放送局用硬質パーマロイヘッドを使用しましたので、19cm/s時における低域のあばれ(形状効果)が少なく、高性能録音、再生アンプとあいまってSN比、歪率(1kHz規準レベルで0.1%以下)も向上していますので、忠実度の高い録音、再生をいたします。

6)CUE/PAUSEレバーの採用

録音、再生中はPAUSE動作に、早送り、停止中はCUE動作になるミューティング・スイッチ(停止中減衰)連動のCUE/PAUSEレバーを採用しましたのでテープの編集等に非常に便利です。

●業務用機の規準に基づいて設計された録音、再生アンプ

1)ダイナミックレンジが広く規準レペルに対して十分余裕のある録音アンプ

プッシュプル回路を使用した録音アンプの最大出力レベルを、業務用機と同じく規準レベルに対して30dB以上(1kHz)の余裕をとりましたので、録音アンプの飽和による歪が録音されることはありません。
また、周波数特性、SN比、歪率の点も大巾に改善されていますので、高性能ヘッドとあいまって忠実性の高い録音、再生をいたします。

2)規準再生レペルが設定できる再生ボリューム

再生ツマミを長線の基準位置(クリックストップ)に合わせることにより、録音レベル、再生レベルをチエックすることができます。(0VU 0.775V出力)

3)最適なバイアス量と録音イコライザー特性を設定できます

バイアス量と録音イコライザー特性を連続可変調整方式を採用していますので、テープ別調整表により前面のBIAS及びEQツマミとVUメーターで、最適なバイアス量とイコライザー特性を設定できますので、リニアリティと周波数特性を最良の状態に設定できます。

4)マイクアッテネーターの採用

12dB減衰するアッテネーター・スイッチがついていますので、マイクの感度や使用状態に合わせて切換えることが出来、SN比が良くダイナミックレンジの広いマイク録音ができます。
またマイクアンプの余裕度はいずれの場合にも55dBありますので、アンプで飽和することはありません。

5)ピーク・VU指示切替式のレペルメーター採用

レペルメーターは切替スイッチによリピーク指示と、VU指示に切換えられますので、最適録音レベルの設定が非常に容易になります。

●キメ細かい設計

1)リールモーター軸の回転検出機構による安全設計

テープをいためないため、早送り、巻き戻し中に再生ボタンを押しても再生動作になりません。
テープ(リールモーター)が停止してからでないと再生、録音ができないよう設計されています。

2)テンションアームにテープエンドセンサーを連動

テープ走行が終ったとき右側のテンションアームに連動したスイッチにより、テープ走行動作(メカニズム)は自動的に停止いたします。

3)リモートコントロール可能

メカニズムパネル面と同じ(5ボタン)操作のリモートコントロールが可能です。

4)マイク回路とライン入力回路とのミキシングが可能です。


主要規格

  • 形式:3モーター2スピードステレオテープデッキ
  • 使用モーター:
    ・キャプスタン用:6極アウトローター形ACサーボモーター1個
    ・リール用:6極ACサーボモーター2個
  • 駆動方式:
    ・キャプスタン部:ACサーボモーターによるダイレクトドライブ
    ・リール部:ACサーボモーターによるバックテンションサーボ
  • トラック形式とヘッド:4トラック2チャンネル録音、再生(消去 フェライトヘッド)(録音,再生ヘッドハードパーマロイヘッド)
  • 使用リール径:最大10号(26形)
  • 使用半導体:
    ・メカニズム部:トランジスター34個、ダイオード67個、IC1個
    ・アンプ部:トランジスター57個、ダイオード29個
  • テープスピード:19cm/s 9.5cm/s
  • テーブスピード偏差:±0.5%以内
  • ワウ・フラッター:
    ・19cm/s 0.03% wrms以下
    ・9.5cm/s 0.04% wrms以下
  • 早巻き時間:10号リール,740mにて約2分30秒
  • 周波数特性:
    ・19cm/s 20Hz〜20kHz
    ・9.5cm/s 20Hz〜18kHz
  • 録音再生補償特性:NAB規格
  • 録音バイアス:約180kHzバイアス量は±40%調整可能
  • トラック間クロストーク:60dB以上(lkHz)
  • チヤンネルセパレーション:50dB以上(1kHz)
  • 入カ:
    ・マイク:50kΩ不平衡-72dB(ATT OFF)-60dB(ATT ON)(VR最大時)
    ・ライン:100kΩ不平衡-22dB(VR最大時)
  • 出カ
    ・ライン:出力インピーダンス1OOΩ以下、負荷インピータンス600Ω以上 規準出力0dBm(0VU)0.775V
  • 総合第3高調波歪率:1kHz規準レベルにおいて0.1%以下(Scotch#250テープ使用時)
  • 総合S/N:
    ・最大録音レベル(514pWb/mm)に対して63dB以上
    ・規準録音レベル(200pWb/mm)に対して55dB以上
  • 付属品:10号リール×1、10号リールクランパー×2、7号リールクランパー×2、リール高さ調整用ゴムシート×2、ヘッドクリーニングセット×1、ピンコード×2、オイル×1、ソケットレンチM3用、ビニールカバー×1

総合

  • 電源:AC100V 50/60Hz
  • 消費電力:120W
  • 外形寸法・重量:
    ・メカ部:470WX385H×270D(mm)20kg
    ・アンプ部:460W×180H×235D(mm)6.5kg

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