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 (昭和49年)

「2トラック38センチスピード ダイレクトドライブ高級ステレオテープデッキ」
「木製キャビネット仕上げ」

ステレオテープデッキ
DH-710
\348,000

■1974年3月

「2トラック38センチスピード ダイレクトドライブ高級ステレオテープデッキ」
「セパレートタイプ レザー張り仕上げ」

ステレオテープデッキ
DH-710S
\380,000

■1974年3月

放送機、業務用機器をつくりつづけてきたDENONがオーディオマニアの方々のために新たに開発した、本格的高性能ステレオテープデッキがDH-710/710Sです。
DH-710/710Sは、ダイレクトドライブによる、新しい2キャプスタン駆動方式を開発し、テープに理想的な条件を与える電子式テンションサーボの採用により安定したテープ走行を図り、しかもテープの安全性にも十分配慮しています。
そのほか、ヘッドや、録音再生アンプ、操作性などにもDENONの最新技術が十分活かされ、しかもマニアライクなアイディアが盛り込まれております。
より高い性能を追求した、DH-710/710Sは変調雑音やウウ・フラッタの低減と高SN比を実現し、極めて忠実度の高い音質を得ていますので、高度なオーディオマニア、音楽ファンの方々に十分満足していただけるものと確信いたしております。


DH-710/710Sの特長

DH-710/710Sは業務用機の規準に基づいて設計されたもので、テープの安定した走行を徹底的に追及し、しかもテープをいたわり、テープの特性を最大限に活かす数々の、ユニークな設計のあふれた高級テープデッキです。

● 業務用機の技術と経験の活きている高信頼性メカニズム

1)新方式のダイレクトドライブ2キャプスタン方式

キャプスタンモーターは、スピード検出に磁気記録再生方式を用いたDENON DN-302F(業務用機)DP-3000等と同じダイレクトドライブサーボ方式を採用し、このキャプスタンモータ軸に非弾性ベルトで結合されたサブキャプスタンによる新しい2キャプスタン駆動方式を開発採用いたしました。このためテープテンションの変動、立上り時の大きな負荷の変動に対しても非常に安定しており、ワウ・フラッタは0.02%wrms以下(38cm/s時)という性能が実現され、しかもリール径やテープの巻き始、巻き終りに関係なく得られます。
また立上り特性は起動時よりワウ・フラッタが規格値内に入るまでの時間は0.9秒(38cm/s時)という従来のメカニズムでは容易に実現できなかった値です。
キャプスタンモータはDENONが本機のために特に開発した振動の少ないソリッドロータ形アウトロータモータを使用したしました。
またテープの縦振動による変調雑音が非常に少なくなるように両キャプスタンの間隔が短くなるよう設計されていますのでダイレクトドライブの特長とあいまってにごりのない澄んだ音質が得られます。

2)電子式テンションサーボを採用

従来一部の業務用機にしか採用されていない電子式テンションサーボの採用により録音、再生および早送り、巻き戻しのいづれにおいてもテープ張力は常に一定に保たれ、かつ程よいかたさでリールに巻かれます。このため録音、再生時において供給側テープの巻径によるテープスピードの変動や、ワウ・フラッタおよび変調雑音の増加がありません。
また走行状態やヘッドタッチも常に安定している為、チャンネル間の位相の変動は非常に少なくなり、しかもヘッドやテープの摩耗についてもテープ張力が適正に保たれるので従来機より大巾に改善されています。

3)テープをいためない合理的な走行系

左右のテンションアーム間のテープ走行系は、なるべく直線に近くなるように設計されています。
またテープの接触する個所は、ヘッド以外はすべて特殊ガイドローラにするとともに、ワンウエイエアダンパをテンションアームに採用してスタート時の過度なテンションを防いでます。これによリテープスレッディングは容易になリテープのいたみが大巾に減りました。

4)業務用機で耐久性が実証された高密度フェライトヘッドを採用

長い間業務用機に使用され、その性能と耐久性が実証されているDENON製の業務用高密度フェライトヘッドを使用しましたので、長期間、初期性能を失なわずにご使用いただけます。
特に再生ヘッドはテープの接触面附近を特殊形状に仕上げてありますので周波数特性の低域のあばれ(形状効果)が生じません。


● 業務用機の規準に基づいて設計された録音、再生アンプ

1)規準レベルに対して十分余裕のある録音アンプ

P-P回路を使用した録音アンプの最大出力レベルを業務用機と同じく、規準録音レベルに対して30dB以上(1KHz)の余裕をとりましたので、録音アンプの飽和による歪が録音されることはほとんどありません。

2)最適なバイアス量と録音イコライザ特性を設定できます。

いかなるテープでも最良の状態でご使用いただくため、バイアス量と録音イコライザ特性を正しく調整できる連続可変式を採用しました。テープ別調整表により前面のBIAS及びEQツマミとVUメータを用いて簡単にそのテープの最適バイアス量と録音イコライザ特性を設定することができますので、リニアリティと周波数特性を最良にすることができます。
又バイアス周波数として200KHzという高い周波数を使用していますので録音時のSN比が良くFM録音時のビートも起こしにくくなってます。

3)マイク感度切替スイッチ

HIGH、LOWのマイク入力感度切替スイッチにより、マイクの出力が大きいときはHIGHに、小さいときはLOWにしますとSN比がよく、ダイナミックレンジの広いマイク録音ができます。またマイクアンプの余裕度はHIGH、LOWいずれの場合にも55dBありますのでアンプで飽和することはほとんどありません。

4)規準再生レベルが設定できる再生ボリューム

再生ツマミを長線の基準位置(クリックストップ)に合わせることにより録音レベル、再生レベルをチェックすることができます。(0VU O.775V出力)


● キメの細かい設計

1)プロ用機と同じキューイング機構

早送り、巻き戻しのときテープを再生ヘッドに近ずけることができますので、再生音により録音されている個所をさがすことができ、テープの編集や再生音の頭出しに便利です。

2)リールモータ軸の回転検出機構による安全設計

テープをいためないため早送り、巻き戻し中に再生ボタンを押しても再生動作になりません。テープ(リールモータ)が停止してからでないと再生、録音ができないよう設計されています。

3)光電式テープエンドセンサー

テープ走行が終ったとき光電式テープエンドセンサにより、メカニズムは自動的に停止いたします。

4)リモートコントロール可能

メカニズムパネル面と同じ(5ボタン)操作のリモートコントロールが可能です。

5)マイク回路とライン入力回路とのミキシングが可能です。

6)4トラック再生も可能です。

4トラック再生ヘッドも取付けてありますので、ヘッドハウジングの切替スイッチにより4トラックテープの再生もできます。


アンプ内部


DH-710/710S主要規格

  • 形式:3モータ・2スピード・ステレオテープデッキ
  • 使用モータ:
    キャプスタン用:6極アウトロータ形ACサーボモータ 1個
    リール用:ACサーボモータ 2個
  • 駆動方式:
    キャプスタン部:ACサーボモータを用いたダイレクトドライブ・キャプスタンとサブキャプスタンによる、2キャプスタン駆動方式
    リール部:ACサーボモータによる、テープテンションサーボ駆動方式
  • トラック形式とヘッド:
    2トラック2チャンネル録音・再生
     録音ヘッド(高密度フェライト)
     再生ヘッド(高密度フェライト)
     消去ヘッド(高密度フェライト)
    4トラック2チャンネル再生
     再生ヘッド(高密度フェライト)
  • 使用リール径:最大10号(26形)
  • 規準テープスビード:38cm/s、19cm/s
  • 使用半導体:
    メカニズム部:トランジスタ38個、ダイオード66個
    アンプ部:トランジスタ29個、ダイオード29個、IC2個
  • 走行中のテープテンション変化:供給側テープの巻径による変化(10号リール最外周より5号リール最内周まで)に対して録音、再生時 巻取り側、供給側とも20g以内 早送り,巻戻し時 40g以内
  • テープスピード偏差:規準テープスピードに対して、±0.5%以内
  • テープスピードの変動:10号、7号、5号各リールの巻始めと巻終りにおけるテープスピードの差は0.2%以下
  • 立上り特性:録音、再生時、起動時よリワウ・フラッタが規格値内に入るまでの時間0.9秒以内(38cm/s)O.4秒以内(19cm/s)
  • ワウ・フラッタ:
    38cm/s:0.02%wrms以内
    19cm/s:0.025%wrms以内
  • 早巻き時間:10号リール、740mテープにて、2分以内
  • 周波数特性:
    38cm/s:30Hz-22KHz±2dB
    19cm/s:30Hz-18KHz±2dB
  • 録音再生補償特性:NAB規格 使用テープにより録音補償を調整可能
  • チャンネルセパレーション:1KHzにおいて、55dB以上(2トラックの場合)
  • 録音バイアス:約200KHz,バイアス量は+60%、-40% 調整可能
  • 入力:
    マイク:50KΩ、不平衡 LOW(-72dB) HIGH(-60dB)
    ライン:100KΩ、不平衡(-20dB)
  • 出力:
    ライン:出カインピーダンス、1OOΩ以下
    負荷インピーダンス、600Ω以上
    規定出力0dBm(OVU)O.775V
    ヘッドホン:負荷インピーダンス8Ω
  • 総合高調波歪率:1KHz規準レベルにおいて、1%以下
  • 総合S/N:
    38cm/sおよび19cm/sにおいて
    最大録音レベル(514pWb/mm)に対して,66dB以上
    規準録音レベル(200pWb/mm)に対して,58dB以上
  • DIN端子付
    リモートコントロール可能
  • 付属品:10号リール×1、10号リールクランパ×2、7号リールクランパ×2、リール高さ調整用ゴムシート×2、ヘッドクリーニングセット×1、ピンコード×2、オイル×1、ソケットレンチM3用

総合

  • 電源:AC100V、50/60Hz
  • 消費電力:120W
  • 外形寸法:
    (DH-710)巾450,高さ550,奥行255mm
    (DH-710S)メカニズム部:巾505,高さ420,奥行295mm アンプ部:巾490,高さ180,奥行315mm
  • 重量:
    (DH-710)28.0kg
    (DH-710S)メカニズム部27.0kg アンプ部8.5kg

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