DL-103Dは、振動系をテーパー状二重構造とし、0.1mm角のソリッドダイヤモンドを使用して、DL-103Sよりさらに軽量化しています。これと適度なダンパーと組合わせて、トレース能力の向上、軽針圧化をはかり、65kHzにおよぶフラットな周波数特性を実現しています。
このほか、ひずみ、クロストーク特性をはじめ諸特性の向上をはかった高性能MC形カートリッジです。
1)DENON独自の十字形アーマチュアとコイル(実用新案登録番号852547)
DL-103Dは平行な磁界中におかれたアマチュアとそれにまかれたコイルが一体となって振動し、発電します。
アマチュアを十字形にすることにより、等価質量を減らすとともに、左右チャンネルの信号コイルを独立して対称に巻くことができるので、振動時における動的バランスが良く、左右チャンネル揃った特性が得られます。
2)高い剛性、軽質量のテーパー状二重構造カンチレバー
振動系に高い剛性、極薄のテーパー状パイプと、強度の最も必要な支点部分を二重構造にしたカンチレバーの採用で、剛性を高めながら質量の軽減をはかり(高域特性に最も影響のある針先からみた等価質量を極力小さくするのに効果があります)適度のダンパーとあいまってトレース能力の向上と軽針圧化を実現し、65kHzにおよぶ高域までほぼフラットな再生周波数特性と、優れたクロストーク、ひずみ特性を得ています。
3)合理的な振動系の支持方式
振動系の支点は、短かく細いピアノ線で支えられているので、再生周波数全帯域にわたって振動の中心を明確にできます。この振動系の特長は、針先が上下、左右どの方向にも均一に動きますが、カンチレバーの長さ方向の動きはありません。このためひずみの発生は極めて少なく優れた再生音が得られます。
4)長寿命、微小ソリッドダイヤ針
針先には、0.1mm角の微小ソリッドダイヤ製特殊楕円針を使用しています。しかも、ダイヤモンドの結晶方向に合わせて最も硬い部分が、音溝に接触するよう研摩し取付けています。このため、摩粍が少なく長時間にわたって安定した特性を維持します。
DL-103D主要規格
- 形式:ステレオカートリッジ
- 発電方式:ムービングコイル形
- 出力電圧:0.25mV(1kHz 50mm/S水平方向)
- 左右感度差:1dB以内(1kHz)
- 左右分離度:28dB以上(1kHz)
- 電気インピーダンス:33Ω(20〜20,000Hz)
- コンプライアンス:12×10-6cm/dyne(レコード測定値100Hz)
- 針先:特殊楕円針 0.1mm ソリッドダイヤ
- 針圧:1.5g±0.2g
- 再生周波数範囲:20〜65,000Hz
- 適合負荷抵抗:100Ω以上
- 自重:7.5g