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 (昭和55
年)

「アモルファスボロンカンチレバーの開発に成功」
「音楽の実在感をリアルタイムに再現」

MC形カートリッジ
DL-305
\65,000

■1980年4月

DL-305は、振動系に微少ダイヤモンドチップ、軽量で剛性の高い極薄アモルファスボロンのカンチレバー、十字形巻枠に、硬質樹脂の採用によって実効質量の飛躍的な軽減を行なうとともに、磁気回路に高性能サマリウムコバルトマグネットを採用して本体の軽量化をはかっています。
この結果、トレース能力は更に高められ、しかも、75kHz以上の超高域再生を可能にするとともに、ひずみが少なく、優れたリニアリティを実現することができました。
DL-305は、クォリティの高い最新のレコードや、ダイナミックレンジの広いレコード等に対しても、従来のカートリッジでは十分表現できなかった音楽の実在感、微妙な音楽のニュアンスまで鮮かに再現し、オーディオ、音楽を愛好する方々に深い感動を与えることができます。
DL-305は、ハイコンプライアンスカートリッジ用に設計さ札た軽量トーンアームDA-401との組み合わせで使用しますと、その真価を最大限に発揮いたします。

DL-305の開発主旨

PCM録音やダイレクトカッティンクなど、新しい技術によりラッカー盤に刻まれる音楽のタイナミックアレンジは、ますます大きくなる傾向にあります。このようなレコードを忠実に再生するピックアップカートリッジは、より大きい振幅や、複雑な音溝に対しても針先は正確にトレースでき、しかも、大切な音溝をいためないことが重要になります。
今回発売するDL-305は、このような条件に対して十分対応できるよう開発されたピックアップカートリッジで、振動系に、DENONが独自で研究開発した高剛性のアモルファスポロンパイプを採用し、徹底した機械インピーダンスの低減を行ない、トレース能力を大きく向上させたハイコンプライアンス形高級MCカートリッジです。


主な特長

A) 再生周波数帯域を75kHz以上に広げた軽量・高剛性アモルファスボロンパイプ振動系

DL-305の振動系は、複雑で微細な音溝に対して忠実にトレースを行なうため、新素材アモルファスボロンパイプを採用して、徹底的に振動系の軽量化を図り、75kHzまでほぼフラットな周波数特性をもち、しかも100kHz以上まで応答します。また、ハイコンプライアンスと相まって中低域はもちろんのこと、 特に高域の微細な音溝まで、非常に安定した理論上の速度振幅トレースを可能にしています。
トレーシング限界特性で高域における十分なマージンをもっています。

1) 高い剛性・超肉薄軽量アモルファスボロンパイプカンチレバー

振動系に超肉薄のボロンパイプの採用で、剛性を更に高めながら、極限まで軽量化をはかりました。(高域特性に最も影響のある実効質量は0.168mg)

2) 十字形巻枠による発電コイル

巻枠を十字形にすることにより、質量の軽減とともに、左右チャンネルの発電コイルを独立して対称に巻くことができるので、振動時の動的バランスが良く、左右チャンネルの感度差が少なく、揃った特性が得られます。
巻枠は、硬質樹脂の採用で軽量化されています。(空芯タイプ)

3) 新しいダンピング方式を採用

振動系のダンピングに、新しいサブダンパーを採用しているので、周波数特性をよリフラットにしています。

4) 一点支持方式による合理的な振動系

振動系は、細いピアノ線で支持されているので、振動の支点を明確にでき、しかも針先が上下左右のどの方向にも均一に動き、カンチレバーの長さ方向の動きはありません。
このため、ひずみの発生は極めて少なく、優れた再生音の得られる理由の一つになっています。

5) 長寿命、微少ソリッドダイヤ針

針先に0.1×0.05mm角で、 0.01mgと微少な長方形ソリッドダイヤ製特殊楕円針を採用し、振動系の軽量化とともに、針先のカンチレバーに対する植込み精度を一段と向上させています。

B) 軽くて強力な発電構造

小形軽量で、しかも強力な空隙磁界を得るため、サマリウムコバルト系マグネット(磁気エネルギー積は従来の数倍)を採用しました。
カートリッジの自重は5.8gと軽くしていますが、カートリッジの自重を小さくすることは、トーンアームの針先位置からみた実効質量を小さくするのに効果があり、レコードのソリ等に対する追従性を高めるのに大きな効果があります。

C) 針圧対出力電圧特性を重視

DENONでは、基本性能の一つとして、針圧対出力電圧特性を大変重視しています。カートリッジの振動系は、レコードのソリ等の影響によって余分な変位を受け、針圧は常に変化します。このため、発電系の直線性が悪いと、出力電圧は大きく変動したり、変調を受けて、クリアーな再生音は得られません。
DL-305は、発電系の直線性に優れ、トレース能力の優秀性等とあいまって、常に忠実度の高い安定した再生音が得られます


DL-305に採用したアモルファスボロン

振動系の柱となるカンチレバーは、十分な剛性と振動系の質効質量を極力軽減する必要があります。
アルモファスボロンは字宙開発におけるロケット等の構造材料に用いられた素材で、現存する元素の中で最も大きい比剛性(ヤング率/密度)をもち、この値が大きい程、軽くて強い材料になります。しかし、融点が2300℃と高く、展延性がないため、ベリリウム、チタン等と異なり、加工性が極めて難かしいので、優れた音響特性をもちながら実用化が遅れていました
DL-305のカンチレバーは、独白の技術開発(Chemical Vapor Deposition法気相成長)と精密加工技術によって開発したもので、困難とされていたパイプ形状のアモルファス(非結晶品)ボロンを採用しました。
アモルファスボロンパイプは、従来のクリスタルボロンと比較して非晶質状態のため、破壊強度が非常に大きくなっています。
例えば、アモルファスボロンの引張強度は多結晶ボロンの約3倍の強度をもっています。


DL-305主要規格

  • 形式:ステレオカートリッジ
  • 発電方式:ムービングコイル形
  • 出力電圧:0.2mV(1kHz 5cm/s水平)
  • 左右感度差:1dB以内(1kHz)
  • 左右分度差:28dB以上(1kHz)
  • 電気インピーダンス:40Ω(20〜20,000Hz)
  • コンプライアンス:
    ・14×10-6cm/dyme(100Hzレコード測定値)
    ・35×10-6cm/dyme(スタチック測定値)
  • 針先:特殊隋円針 0.05×0.1mm ソリッドダイヤ
  • 針圧:1.2g±0.2g
  • 再生周波数範囲:20〜75,000Hz
  • 適合負荷抵抗:100Ω以上(トランス40Ω)
  • 自重:5.8g
  • 針交換:本体交換 \39,000


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