DP-60L/Mの企画意図
トーンアームとカートリッジは、本来一つの振動系として考えなければなりません。
最近、主流となっているハイコンプライアンスカートリッジの場合も、軽量トーンアームと組み合わせて、低域共振周波数を適正に設定することが優れたレコード再生の条件となります。
これにより、レコードのソリや偏心に対する追従性を高めることができ、レベル変動や混変調ひずみの発生を大きく減少させ、再生音質の向上に大きな効果をあげることができます。
DP-60L/Mは、回転性能及び防振特性を向上させた上、ハイコンプライアンスカートリッジの性能を十分に発揮させる軽量トーンアームを標準装備するとともに、S字形アームバイプも附属させて、従来のヘッドシェル付カートリッジ等の性能も十分発揮できるよう考慮されたアームパイブ交換形高級クォーツプレーヤーです。
DP-60Lは、オートリフトアップ機能をもち、 DP-60Mは、マニュアル操作になっています。
主な特長
トーンアーム
1. アームパイプ交換方式の採用でカートリッジの性能を十分発揮
ハイコンプライアンスカートリッジの性能を発揮させるローマス・ストレートアームパイプと、S字形ユニバーサルアームパイプを容易に交換でき、オーディオの楽しみを拡大することができます。
A) ローマス・ストレートアームパイプ
トーンアームを軽量化することにより、レコードのソリや偏心に対する追従性を高め、ハイコンプライアンスカートリッジと組み合わせた時、低域共振周波数を適正な値に設定することができます。
このため、レベル変動や混変調ひずみの発生を極力小さく抑えることができ、カートリッジ本来の性能を十分発揮させ、優れたクリアーな再生音質が得られます。
ストレートアームパイプは、ヘッドシェルと、パイプを一体構造にするとともに、コネクター部をアームの根元の方に移すことにより実効質量を極力軽減しています。
B) S字形ユニバーサルアームパイプ
軽量化の方向を目指したS字形アームパイプは、従来の4Pコネクターを採用しているため、各種ヘッドシェル付カートリッジやヘッドシェルー体形カートリッジ等を自由に使用することができます。
2. 高精度軸受部の採用
軸受構造は、ジンバルサポート方式を採用し、高精度ラジアルベアリングの使用により、高感度化をはかり、トーンアームの追従性の向上をはかっています。
フォノモーター
1. スピード検出に磁気記録検出方式を採用
スピード検出に、ターンテーブルリム内周に高精度で磁気記録された1000個のパルスを磁気ヘッドで検出しているので、検出周波数が高く(555.5Hz)とれ、サーボを安定に、しかもゲインを高くできるので、オーバーシュートや、ワウ・フラッターが非常に少なくなっています。
2. 水晶発振器によるフェーズロックドサーボ方式の採用でスピード偏差±0.002%以下
回転スピードを決める基準発振回路に、温度変化や経年変化などの影響をほとんど受けない水晶発振器を採用しているので、回転スピードは極めて安定しています。フェーズロックドサーボにより、レコード演奏時の様々な負荷変動や、電源電圧の変動による回転スピードの変化はありません。
3. 両方向性サーボと電子ブレーキによりスピード切換時の動作は滑らかです
両方向性(増速、減速)サーボと電子ブレーキの採用により、スタートやスピード切換時の動作が速く滑らかです。また、ストップ時には電子ブレーキによりスムーズに停止します。停止後のターンテーブルはフリー状態になります。
4. 自照式ソフトタッチ操作ボタン採用
5. 振動が少なく滑らかな回転の得られるACサーボモーターを採用
6. 水晶発振同期によりパルス点灯した見やすいストロボス:コープ
7. 防振効果の大きいターンテーブルシート
プレーヤーの性能をそこなわない無接触オートリフト機構(DP-60L)
DP-60Lのレコードエンド検出法は、針先がレコードの音溝からリードアウトに移る時のトーンアームの移動するスピードをアームに無接触で検出しているので、演奏が終って無音溝に入ってから確実にトーンアームはリフトアップします。
トーンアームのリフト機構に、DENONが開発したアンギュラコントロールモーターを採用し、さらにサーボで制御しているため、カートリッジの針圧の大小、周囲温度の変化等に対しても、常に一定のスピードで動作音もなくリフトアップ/ダウンします。また、スタートストップと連動してリフトダウン/アップします。
そのほか、演奏中にストップさせる時にも、リフトアップしてからターンテーブルのブレーキが作用するため、ストップ時に不愉快な音を再生することはありません。
キャビネット
キャビネット材に20mm厚の高密度パーチクルボードを使い、十分な補強を施こして振動を防止しています。また、大形インシュレーターを採用し、防振性能を高めています。
DP-60Mのアーム取付部は、80mm厚のボードにしっかり固定し、キャビネットから伝わる振動の影響を極少にしています。
キャビネット表面は、天然木で優美に仕上げています。
トーンアームの低域共振について
トーンアームとカートリッジは、本来一つの振動系として考えなければなりません。最近、主流となっているハイコンプライアンスカートリッジは、実効質量の小さいトーンアームと組み合せて低域のカットオフ周波数を適正に設定することが好ましいです。
この低域共振周波数を10Hz前後に設定することにより、レコードのソリ等に対する追従性を高めることができ、混変調ひずみやレベル変動の発生を抑えることができるのです。低城共振(fo)については、 DENONでは早くから問題としてカートリッジやトーンアームの開発、設計をし、対応してきました。
主な仕様
[ホノモーター]
- 駆動方式:サーボ式ダイレクト・ドライブ
- モーター:ACサーボモーター
- スビード制御方式:周波数検出によるスピードサーボ、および位相サーボ
- 回転数:33・1/3、45rpm
- 回転数偏差:0.002%以下
- 起動時間:1.5秒以内で(33・1/3rpm時)
- ブレーキ方式:電子式プレーキ
- ワウ・フラッター:
・0.015%w.rms以下(DENON測定法による)
・0.02%w.rms(JIS測定法による)
- SN比:78dB以上(DIN-B)
- ターンテーブル:アルミダイカスト 慣性モーメント200kg・cm2(ターンテープルシートを含む)
- 負荷特性:0%(針圧100g最外周)
[トーンアーム部]
- 形式:スタチックバランスストレート形(シェル一体構造)、パイプ部交換可能(S字形パイプ付属)、ダンピング付
- 全長:316mm
- 有効長:244mm
- オーバーハング:14mm
- オフセット角:20..5°
- トラッキングエラー:2.5°以内
- 適合カートリッジ自重:
・約4〜10g・・・ストレート形パイプアーム時、ビスナット含む
・約12〜18g・・・S字アーム時シェルビスナットを含む
- 針圧可変範囲:0〜2.5g/1回転(1目盛0.1g)
- 交換用パイプアーム:
・ストレート形アームパイプ(専用ヘッドシエルー体構造)
・S字形アームパイプ(EIA規格4Pコネクター付)
- アーム高さ調整範囲:約42〜46.5mm(キャビネット上面からアームパイプ中心まで)
- アームリフター:
・専用モーターによる電子サーボ式(DP-60L)
・オイルダンプ式(DP-60M)
- 出力コード:低容量コード
[総合]
- キャビネット:木製キャビネット、天然木ブビンガ仕上げ
- インシュレーター:高さ調整可能
- 電源:AC100V 50Hz/60Hz
- 消費電力:11W
- 外形寸法:485(W)×180(H)x410(D)mm(ダストカバーを閉めた時)
- 重量:約13kg