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 (昭和53年)

「クオリティ追求から・・・A級動作DCアンプ採用!」
「ひずみ追放・・・対称型プッシュプル方式!」

ステレオ・プリメインアンプ
PMA-830
標準価格:89,000円

■1978年2月

伝送系のクォリティ追求と一体化した、高度な回路技術を駆使してのDENONインテグレーテッド・アンプPMA-830新発売。
音楽信号のシリアスな再現をめざして、ひずみの追放とS/Nの改善を最重点テーマとし、回路技術と各パーツを徹底的に検討し、アンプの基本特性を飛躍的に向上させました。
音の入り口から出口までの各段を対称形プッシュプル方式、さらにパワーアンプにA級動作DCアンプを採用することによって、クロスオーバーでスイッチングひずみを除去した低ひずみオールA級アンプとして使用できます。
一方初段には新開発の超低雑音半導体素子を厳選して採用し、イコライザーアンプのS/N90dBという極限ともいえる数値を獲得し、同時に広ダイナミックレンジを実現しました。
加えて、このぜいたくな回路によるすぐれた特性を十二分に生かしきるために、トーンコントロールをジャンプして、イコライザーアンプとパワーアンプを直結することができるダイレクトカップル方式も採用しました。
伸びのある緻密な高域、あくまでも透明な澄んだサウンド・・・・・それに進歩の著しいパーツ素材をすぐれた回路技術で生かしきった象徴的な成果です。


■対称形プッシュプル回路を各段に採用!

素材から見た回路構成、回路構成から見た素材の両面から検討を積み重ね、未来指向形の対称形プッシュプル(Fully Complementary)回路を先に発売したプリメインアンプPMA-850に採用しています。
本回路の大きな特長は、特に高域における帰還ループ内伝送信号の時間的遅れによるひずみの発生を根源的に除去することができ、広帯域にわたって高調波ひずみを測定限界に近い領域まで低減させることができるのです。
従って、プリメインアンプの現状と将来という観点から基本性能、音質を追求して行くと、最終的に到達する回路構成がこの対称形プッシュプル回路でないかと確信し、採用しました。

■A級動作15W+15WとB級動作65W+65W 両立させたDCパワーアンプ

対称形プッシュプル回路の特長を最大限に生かすため、新たにA級動作DCアンプを採用しました。A級アンプはB級アンプに付随するスイッチングひずみやクロスオーバーひずみを完全に除くことができ、超高域に亘ってひずみを低減させることができます。
本機のA級動作時に於ける100kHzのひずみ率0.03%という驚くべき数値を示し、測定限界を越えた超ワイドレンジの低ひずみを実現しています。これは対称形プッシュプル回路による効果が大きく、初めてA級アンプの良さが発揮できたと考えられます。
また、B級動作も極力A級勤作時の内容に近づける様に努力し、100kHzのひずみ率も0.15%以下に抑えています。
音の入口から出口にまで各級に亘って、A級動作という正にA級アンプの本領を発揮し、よりクォリティの高い再生が可能となりました。

■S/N90dB RIAA偏差±0.2dBの高利得 イコライザーアンプ

対称形プッシュプル回路の初段には、新しく開発した超低雑音トランジスターを採用し入力換算雑音レベル-142dBV(0.079μV)という限界に近い領域まで、雑音レベルを低減させ高S/Nイコライザーアンプを実現させています。
更に、イコライザーアンプの利得42dB(1kHz126倍)と大きくし、イコライザーアンプの出力をパワーアンプに直結(ダイレクト・スイッチ)したときでも十分パワーアンプをドライブできるようにしました。
また、高S/N、高利得を得ながら高調波ひずみ率0.003%以下という低ひずみを実現し、同時に飽和レベル(最大出力)25Vrms(許容入力200mVrms 1kHz)という高出力アンプにしています。
従って、高利待と許容入力という相反する条件を共に満足させ、ディスク再生の重要な役割を担うイコライザーアンプのクォリティを一段と向上させています。

■イコライザーアンプの出力でパワーアンプを直結ドライブするダイレクト・スイッチ付

PMA-700以来、DENONアンプの一貫した設計思想の中に現われている通りフォノカートリッジの出力電圧やディスクレコードのカッティングのピークレベルを考えると、定格出力を得るためのアンプの総合利得は多過ぎると言えます。
本機もこうした思想の基に、クォリティの重視と、一般家庭での再生レベルを考え、フラット(トーン兼)アンプの利得を10dBにし、同時にこのフラットアンプをジャンプさせイコライザーアンプ−パワーアンプを直結させて、高S/N再生ができるようにしました。

■DEFEATスイッチを設けたフラットアンプ兼トーンアンプ

トーンコントロールはTREBLE、BASSともつまみの指示がDEFEATの位置にあるとき、トーンコントロール素子が外れて、完全なフラットな特性になります。
それ以外の位置ではそれぞれ±8dBの範囲内でコントロールすることができます。

■漏洩磁束を重視した強力な高性能トロイダル電源トランス

パワーアンプに強力な電力を供給する電源部には、電圧変動率の優れたトロイダルトランスを採用し、大容量のブロックコンデンサー並列使用と相まってダイナミックなプログラムソースにも全く安定に追従します。
更にS/N劣化の要因となる漏洩磁束には万全を期し、多重シールドを施し、電源トランスからの漏洩磁束を完全に抑えています。


■主要規格

■パワーアンプ

  • 回路方式
    • 全段ピュアコンプリメンタリーDC回路
  • 定格出力
    • 両チャンネル駆動
    • 20Hz〜20KHz(負荷8Ω)
      • B級動作時:65W+65W(T.H.D. 0.01%)
      • A級動作時:15W十15W(T.H.D. 0.005%)
    • 1KHz(負荷4Ω T.H.D. 0.02%)
      • B級動作時:90W+90W
  • 全調波ひずみ率
    • B級動作時:0.01%以下
    • A級動作時:0.005%以下
  • 混変調ひずみ率 7KHz/60Hz:1/4
    • 0.01%以下(定格出力相当振幅出力時)
    • 0.01%以下(正弦波1W相当振幅出力時)
  • 出力帯域幅
    • B級動作時:5Hz〜80kHz(IHF,T.H.D. 0.05%)
    • A級動作時:5Hz〜100kHz(IHF,T.H.D. 0.05%)
  • 伝送特性
    • DC〜100kHz(+0/-1dB)(1W出力時)
  • 入力感度
    • 1V
  • 入力インピーダンス
    • 50kΩ
  • 出力インピーダンス
    • 0.16Ω以下
  • SN
    • 122dB
  • 出力端子
    • スピーカー A&B負荷4〜16Ω A+B 負荷8〜16Ω
    • ヘッドホン ステレオヘッドホン適合

 ■プリアンプ部

  • プリアンプ出力
    • 最大出力 25V
    • 定格出力 1V
  • 全調波ひずみ率
    • 0.003%(出力3V時)
  • イコライザーアンプ出力
    • 最大出力 25V(負荷50KΩ時 T.H.D. 0.01%)
    • 定格出力 320mV
  • 入力感度/入力インピーダンス
    • PHONO-1,2 2.5mV 50KΩ
    • TUNER 320mV 40KΩ
    • AUX TAPE 320mV 40KΩ
  • 最大許容入力
    • PHONO MM 200mV 1kHz
  • RIAA偏差
    • ±0.2dB以内(20Hz〜20kHz)
  • SN (lHF Aネットワーク)
    • PHONO MM 90dB以上(入力端子短絡時)
    • TUNER TAPE AUX 105dB(入力端短絡時)
  • AUX→PRE OUT周波数特性
    • TONE DEFEAT 5Hz〜100kHz(+0/-1dB)
  • トーンコントロール可変範囲
    • BASS 100Hz±8dB
    • TREBLE 10kHz±8dB
  • フィルター特性
    • SUBSONIC 20Hz,-6dB/oct
  • ラウドネス特性
    • 低域 100Hz+7dB
    • 高域 10kHz+6dB

 ■電源コンセント

  • SWITCHED 1個 100W
  • UNSWITCHEID 2個 250W(Total)

 ■電源

  • AC-100V 50・60Hz

 ■消費電力

  • 170W(電気用品取締法による)

 ■寸法

  • W434×H164×D400mm(含ゴム足、ツマミ、端子)

 ■重量

  • 16kg

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