オーディオに対するDENONの信条“エレクトロニクスと音楽との調和”をふまえ、アンプ増幅の完全性を追求し、プリメインアンプは如何にあるべきかの原点に立って回路構成、レイアウト、配線にいたるまで再検討した結果、誕生したのがこのPMA-850です。
本機はアナログ信号増幅の終局的な方向を示す回路テザイン、MCヘッドアンプからパワーアンプ出力まで全段フル・コンプリメンタリー回蹄採用と新デバイスの開発により驚異的な性能を実現しました。
この結果、偶数次のひずみが発生しない、裸利得やS/Nが大幅に向上、更に全般バイポーラトランジスター構成により、初段での裸利得が大きくとれ 直流安定度の極めて優れた高S/N、低ひずみの特性を実現すると共に数々の試聴の積み重ねによりここに誕生いたしました。
■音楽信号ひずみの低減を重視し、全段にわたりフル・コンプリメンタリー回路構成採用!
アンプの各回路は負帰還により、歪の低減を行っていますが、帰還ループの波形伝送上の時間遅れと共にアンプの入出力容量による時間遅れを伴います。特に高周波に於てこの現象は著しく、負帰還ループによるダイナミックな音楽信号の歪補正は完全であるとは言い切ることはできません。
この様な現実を考えるとアンプの構成要因である各回路の歪を根本的に低減すること以外に、この解決策はありません。
この考えのもとに基本的に最も歪発生の少ないPNP-NPNトランジスターによるコンプリメンタリー構成によるアンプ・ユニットを総ての信号増幅過程に採用し偶数次の歪発生を防ぎ、プリアンプ部0.003%(20Hz〜20KHz)、パワーアンプ部0.01%(20Hz〜20KHz)と超歪率を実現しました。
■ダイナミックレンジ拡大!
アンプ性能の基本となるものは、S/Nにあることはいうまでもなく、音楽信号再生時に於ける歪の低減の成果を充分に生かすためにも、まずS/Nを改善しなければなりません。本機ではイコライザーアンプ入力のコンプリメンタリー構成、機器構造、部品レイアウト、配線及び素子性能の見直しとアンプ設計の総合技術を結集してMM系89dB以上、MC系74dB以上と内蔵ヘッドアンプとしては、最高のS/Nを確保することができました。この結果、従来より約10dBのダイナミックレンジの拡大に成功しました。
■新増幅素子EBT(エミッタ・バラスト・トランジスター)を採用し、立ち上り特性を重視したパワーアンプ!
電力増幅段のトランジスターに新増幅素子EBTを採用
EBTはfT(トランジュント周波数)が100MHz程度と非常に高くハイ・スピードなスイッチング特性が得られ高域のひずみ特性を一段と改善することができる新しい増幅素子です。この新しい増幅素子とDENON技術の優れた回路設計とあいまって、物理特性、聴感とも極めて完成度の高いパワーアンプを形成しております。
■高S/N・高クリッピングレベル実現のMCヘッドアンプ内蔵!
入力段を平衡形コンプリメンタリー構成の回路を採用すると共に高S/Nトランジスターを初めとする素子の厳選及び部品相互の干渉により74dB以上という高S/Nを実現いたしました。更にMCヘッドアンプ出力3Vという高クリッピングレベルを得る余裕ある設計を行い、ノン・クリッピング周波数特性が20KHzまでフラットなものとしました。
■高S/N・高出力・高精度イコライザーアンプ!
入力段を平衝形コンプリメンタリー構成とし、更に超低雑音トランジスターおよびその他の素子を厳選、電源トランスの徹底したフラックス対策により、S/N89dB以上を実現しました。その結果、従来より約10dB改善しております。
■ダイレクトカップル・スイッチ採用!
ダイレクトカップル・スイッチをONにするとトーンコントロールアンプ、フィルターアンプを完全にジャンプさせ、イコライザーアンプ出力信号を直接パワーアンプに送り込むことができます。従ってコントロールを必要としない普通の状態では一層クリアーな再生ができます。
■DCパワーアンプの採用!
パワーアンプは、低音域の応答性及び忠実な波形伝送を得る為に、DCアンプを採用、更に電源回路に、レギュレーションの優れた、左右チャンネル独立巻線方式のトロイダルトランスを用いて、ダイナミックな適応答性を確保いたします。
■多重シールドトロイダルトランスの採用!
高S/Nの確保という点から電源部のリーケージフラックスを極度に抑える必要があり、けい素鋼板による多重シールド構造としております。
■デュアル・ブスライン採用!
電源ラインの雑音消去に効果を得ているデュアル・ブスラインを導入して、S/N、クロストークの改善のベースといたしました。
□主要規格
■パワーアンプ部
- 回路方式
- 定格出力 両チャンネル駆動
- 20Hz〜20KHz 85W+85W(負荷8Ω T.H.D. 0.01%)
- 1KHz 110W+110W(負荷4Ω T.H.D. 0.05%)
- 全調波ひずみ率
- 混変調ひずみ率 7KHz/60Hz:1/4
- 0.02%以下(定格出力相当振幅出力時)
- 0.01%以下(正弦波1W相当振幅出力時)
- 出力帯域幅
- 5Hz〜100KHz(IHF,T.H.D. 0.1%)
- 伝送特性
- DC〜100KHz(+0/-1dB)(IW出力時)
- 入力感度
- 入力インピーダンス
- 出カインピーダンス
- SN
- 出力端子
- スピーカー A&B負荷4〜16Ω A+B負荷8〜16Ω
- ヘッドホン ステレオヘッドホン適合
■プリアンプ部
- プリアンプ出力
- 最大出力 25V(負荷50KΩ時)
- 定格出力 1V
- 全調波ひずみ率 0.003%(出力3V時)
- イコイラザーアンプ出力
- 最大出力 25V(負荷50KΩ時 T.H.D. 0.01%)
- 定格出力 320mV
- 入力感度/入力インピーダンス
- PHONO-1.2 MM 2.5mV 50KΩ
- PHONO-3 MC 0.37mV(カートリッジインピーダンス40Ω時)−
- TUNER 320mV 40KΩ
- AUX TAPE 320mV 40KΩ
- 最大許容入力
- PHONO MM 200mV 1KHz
- PHONO MC 30mV(1KHz,40Ω)
- RIAA偏差
- S/N(lHF-Aネットワーク)
- PHONO MM 89dB以上(入力端子短絡時)
- PHONO MC 74dB以上(入力端子40Ω時)
- TUNER TAPE AUX 105dB以上(入力端短絡時)
- AUX→PRE OUT周波数特性
- TONE DEFEAT 5Hz〜100KHz(+0/-1dB)
- トーンコントロール可変範囲
- BASS 100Hz±8dB
- TREBLE 10KHz±8dB
- フィルター特性
- SUBSONIC 20Hz,12dB/oct
- HIGH CUT 9KHz,12dB/oct
- ラウドネス特性
- 低域 100Hz+7dB
- 高域 10KHz+6dB
- ミューティング
■電源コンセント
- SWITCHED 1個100W
- UNSWITCHED 2個 250W(Total)
■電源
■消費電力
■寸法
- W434×H169×D400mm(含ゴム足、ツマミ、端子)
■重量