1980年代に向けて放つDENONパワーアンプ!
POA-3000は、1980年代への新しい取組み方として、音楽性重視、基本性能重視の新しい一環として、“REAL TIME AUDlO TECHNOLOGY”を基本設計思想に掲げ、音楽信号波形を変形することなく、リアルに増幅するA級の本質をそのままに効率を大幅に改善し、180W+180Wの高出力を実現した画期的なA級アンプです。
■パワーアンプの市場動向 再上昇中
★20万円以上のパワーアンプ!!
パワーアンプの総販売台数が再び伸長を開始し、只今再上昇中です。特に、本格派向けパワーアンプの中で20万円以上クラスの急伸長は、注目に値します。
53年下期では下降傾向から一転して、122%もの再上昇、この勢いは更に続き、期待されるだけに販売店としては、顧客管理を見直す機会といえます。
★再上昇の背景と今後の見かた
52年上期から、シスコンにもセパレートアンプの導入が展開され、「セパレート」に対する人気上昇傾向になり、パワーアンプにも、ローコストモデルのラインアップ化の方向が進みました。
しかしながら、期待に反し、ユーザーの支持を得られず、本当に音楽を愛好する本格派向けのアンプでは、下降、低迷した市場となり、53年上期には、約30%も(52/上期に比し)ダウンするまでに到りました。
53年下期には、基本に戻る市場開発への努力がユーザーの支持を得て、内外の高級パワーアンプの急伸長の展開となり、本物を求めるユーザーの強い志向がみられます。
今後も、この傾向が続くと同時に、各社の開発志向がA級アンプに集中化する気配にあるため、一層、高級アンプへの傾向が高まって来ることが予想されます。
■主な特長
★高出力180W+180Wを実現したA級増幅出力段(特許7件出願中)
画期的なリアルバイアスサーキットの採用によって、効率を大幅に改善し、A級アンプとして他に類を見ない高出力A級アンプを実現しました。
★カスコードエミッターホロワードライバー回路(特許出願中)
ドライバー国路はfT(400MHz)、Pc(400mW)を4並列接続したカスコードエミッターホロワードライバーによって構成、低出力インピーダンスドライブ、パワー段の高域特性の劣化を防止しています。
★差動3段平衡ドライブ(特許2件出願中)
電力増幅ドライブも可能な強力ドライブ回路で(広帯域低歪率、低インピーダンス)低TIM、ハイスルーレートを実現させました。
★ダイレクトDCサーボ方式によるDCパワーアンプ(特許2件出願中)
初段のFET差動アンプ並列動作によるタイレフトDCサーボ方式はシンプルでしかも応答スピードが早く直流中点ドリフトをシャットアウトするだけでなく、雑音レベル、歪をも減少させています。
★1000VAの超大形トロイダル電源トランスと100,000μFの大容量電解コンデンサー採用
本機の心臓部には、LR別巻の超大形トロイダル電源トランスとチャンネル当り50,000μFの大容量電解コンデンサーによって強力電源回路を構成。プリ段にはEl形の電濾トランスによって電源回路の安定性を一段と向上させ、A級180W+180Wのフルパワー時に十二分なエネルギーを供給しています。
★大形ピーク指示方式の出力レベルメーター
出力レベルをdB及びW表示で小出力から定格出力まで広帯域こ亘って正確なビープ値を指示します。
■A級アンプの本質
なぜA級動作は優れているのでしようか。それは出力段の動作が、信号波形そのものをトランジスタのリニア領域を利用し、そのまま波形を増幅する為に歪が少ないということで、B級の様に信号波形をプラスの半サイクルとマイナスの半サイクルに分割して増幅し、これをプッシュプル回路によって波形合成する形式と本質的に異なっているからです。しかしこうした本質的に優れたA級アンプも、実際に広くユーザーに愛用して頂く為には、問題が残されています。それは「A級アンプは非常に発熱が大きく、その割に出力が小さい」ということです。ここでまちがえてはいけないのは、A級アンプの本質は「信号波形を変形することなく、トランジスタのリニア領域で増幅しているから歪が少ない」ということであり、発熱を大きくすれば歪が少なくなるというものではないのです。
■DENON高効率A級アンプとは
デンオンのA級アンプの動作電流波形を第2図に示しますが、第1図の一般のA級アンプの動作電流波形と比較して見て下さい。
一般のA級アンプのバイアスは、アンプの最大出力時を想定してその最大出力時に必要な大きさの電流値に設定される為、最大出力か大きい程バイアスも大きく、最大出力100WのA級アンプの場合は2.5Aに、最大出力20Wの場合は1.12Aとなり、これが無信号時や小出力時の大きな損失となり発熱となっているのです。この様にA級アンプは出力の大きさに応じて適当なバイアス点というものがあり、小出力の場合はバイアスは少なくても良いのです。「A級動作の本質」から考えて、不必要な無駄は排除するべきでしょう。
これを具体的に実践したのがデンオンのA級アンプで、信号の大きさに応じて適当な大きさのバイアスを与え、信号波形を変形させることなく、トランジスタのリニア領域を利用して増幅することにより、「A級本来の動作を保ちながら無駄なバイアス分を減少させて効率の向上を図ったのです。」
トランジスタの発熱は、トランジスタに加えられた電圧と流れる電流の積によって決まり、電流を減少させれば発熱も減少しますので、小出力時や中出力時の不必要なバイアスを減少させたのです。
トランジスタに流れる電流波形は変形することなく、本質的なA級増幅をすることが出来、効率向上によって高出力化が達成出来るのです。
●主要規格
- ダイナミック出力(負荷8Ω)
- 定格出力(両チャンネル駆動・正弦波出力・20Hz〜20kHz・負荷8Ω)
- 全高調波ひずみ率
- 20Hz〜10kHz 0.002%以下
- 20Hz〜20kHz 0.003%以下
- 混変調ひずみ率(60Hz/7kHz=4/1定格出力180W相当時)
- 出力帯域幅(lHF両チャンネル駆動)
- 入力感度/入力インピーダンス
- 出力インピーダンス/ダンピングファクター
- SN比
- スピーカー端子
- 伝送特性
- サブソニックフィルター特性
- セパレーション
- 100dB以上(20Hz〜1kHz)
- 85dB以上(20Hz〜20kHz)
- スルーレート
- レベルメーター特性
- 指示方式 ピーク値指示方式出力レベルメーター
- 指示範囲 -50dB〜+5dB 0dB=200W/8Ω
- 周波数特性
- 電源
- 消費電力
- 無信号時 220W
- 電気用品取締法による 730W
- 寸法(つまみ類足の高さを含む)
- 重量