開発にあたって
SC-5000は、開発期間に4ヶ年の歳月を投入して完成されたもので、コーン形スピーカーの集大成ともいうべき数々の特長を備えた極めて高性能を誇るスピーカーシステムです。
開発にあたっては、徹底した物理特性の追求を行ない、平坦な音圧周波数特性、高調波ひずみの低減、高能率化、ダイナミックリニアリティーの拡大などを飛躍的に向上させ、更に楽音再生に最も関係の深い、過渡特性、複合波再生能力を大幅に改善しました。
開発された各スピーカーユニットは、40cmコーン形ウーハー、15cmコーン形ミッドレンジ、5cmコーン形ツイーターに於いてそれぞれ弊社独自の技術と弊社で研究開発されたシステム関数及びインパルス応答特性、ホログラフィによる振動解析手法、サウンドラチチュード特性など一連のスピーカーシステム評価法を駆使しました。(特許12件、実新2件出願中)
High-M(高剛性)振動板採用の40cmコーン形ウーハー
コーン形ダイナミックスビーカーは50有余年もの間、種々な形のスビーカーを凌駕し、ノウハウの集積により陶汰され現在もなお主流を占めています。
近年新材料の開発が盛んに行なわれ紙から脱皮すべく色々な事が試みられていますが、特に大□径、高性能ウーハーに要求される条件を満たす材料が得られにくいのが事実です。
弊社の開発したHigh-M振動板とは、紙のもつ優れた性質(密度が小さく適度な内部損失をもつ)を有効に活用しながら、大□径振動板に要求される高剛性を構造的にもたせる方法です。この方法の開発により、振動板の重量を従来比10%も軽量化が図かられ、強力な磁気回路と相まって98dBという高能率化を実現しています。
振動板は、木材パルプよりヤング率の高い精製麻繊維を木材パルプに配合した素材を、放射状及び円還状パターンのリブと一体構造としたコーン形です。
■特長(ウーハー)
1. リブ付振動板の採用
- 軽量で高剛性でピストン領域が従来の1.5倍に拡大し、高域共振が分散され平坦な音圧周波数特性を実現。
- 大入力時にも振動板の変形が少なくひずみの増加がない。(瞬時最大許容入力1kW)
2. 低ひずみ強力磁気回路採用
- 超大形フェライトマグネットにより高能率、有孔センターポール、特殊形状コントロールリングにより、大幅なひずみの低減。
3. 超高耐熱ボイスコイル、ショートボイスコイル採用
4. 特殊曲線ダンパー及びエッジによりリニアリティ拡大
High-M(高剛性)振動板採用15cmコーン形ミッドレンジ
高弾性繊維であるアラミド繊維織布を特殊樹脂で強化して、木材パルプのもつ理想的な内部損失と同等な値を維持しながら高い周波数まで変化せず、更にヤング率が約3倍の振動板を開発、この振動板の使用によりピストン領域の拡大と音圧周波数特性の平坦化を実現しています。
■ 特長(ミッドレンジ)
1. 高弾性・高内部損失のアラミド繊維振動板
2. 直線性に優れた高耐久性特殊曲線のエッジ、ダンパー
3. 低ひずみ強力磁気回路
- 大形フェライトマグネットと特殊形状コントロールリングにより大幅なひずみ低減。
4. 超高耐熱ボイスコイル
High-M振動板採用の5cmコーン形ツィーター
ミッドレンジと同様なアラミド繊維織布を使用し更にダンバーレス構造などにより振動系質量わずか0.56gを実現、φ120mmのストロンチュームフェライトマグネットの採用と相まって、コーン形ツィーターでは他の例のない高能率97.5dBを確保。
■ 特長(ツィーター)
1. 高弾性、高内部損失のアラミド繊維振動板
- ピストン領域の拡大
- 音圧周波数特性の平月化
- 振動系の軽量化により高能率化
2. 振動板基部に折り返し部を付加
- ボイスコイルのたわみ振動を防ぎ大入力時のひずみを低減
3. セミドーム構造で指向性改善
4. 強力磁気回路により低ひずみ実現
- ストロンチュームフェライトマグネット採用⇒高能率化
- 特殊形状のコントロールリンクにより電流ひずみの発生防止
5. 超高耐圧ボイスコイル採用
高性能スピーカーユニットの実力を発揮させたSC-5000
フロア形スピーカーシステムSC-5000は多くの試聴実験の中から生まれたエンクロージャー、伝送損失を重視したネットワークなどによって、数々の優れた性能を持つ各スピーカーユニットの実力を最大限に発揮させたスピーカーシステムです。
本システムは、コーン形スビーカーでは他に例のない高能率97dB(1m/1W)を実現しながら瞬時最大音圧120dB以上という広ダイナミックレンジを誇り、更に平坦な音圧周波数特性、低ひずみ率を実現しています。一般家庭用としては勿論、プロ用にも耐え得る性能を持ち、極めて高品質の再生が可能です。(マルチ・チャンネル端子付)
圧倒的なスケール感と綴密な音質を引き出すネットワーク
ネットワークのロスを最小限にした設計を行い-12dB/OCTを基本としてサウンドラチチュード特性や各ユニットの音圧合成状態による位相補正を行い、聴感テストを経て最新バーツを厳選使用して決定しました。
使用コンデンサーは特に損失の小さい大形メタライズドフィルムコンデンサーを主体にして、すべて2ケ以上の並列接続を行い損失を小さくすると同時に4種類のコンデンサーをそれぞれのユニットの帯域に応じて使用しています。
重厚で堅牢なエンクロージャー
振動モードをより複雑にしてしまう"つなぎ"などを一切排除し、35mm厚の頑強な高密度バーチクルボードを側板に使用、25mm厚、高密度バーチクルボードのバッフル・天・底・バックドア部が両側から締込れる構造とし、エンクロージャーの不要振動を最小限におさえています。
※尚、底部は25mm厚さを2枚使用しています。キャビ内寸法は40cmコーン形ウーハーをバスレフ方式で駆動する最適容量185Lを基礎としています。
■ 新開発スピーカーユニット仕様
■ SC-5000の主な仕様
- 形式:3ウェイ・3スピーカーバスレフ形
- 使用スピーカー構成:8Ω
- 平均出力音圧レベル:97dB(1m/1W)
- 最大許容入力:300W(プログラムソース)、1kW(瞬時最大)
- 使用スピーカー構成:
・ウーハー(40cmコーン形)
・ミッドレンジ(15cmコーン形)
・ツィーター(5cmコーン形)
- クロスオーバー周波数:400Hz、3.2kHz
- レベルコントロール:中音域・高音域 各連続可変
- 寸法:W572×H925×D445mm
- 重量:70kg
- その他:マルチ・チャンネル(3CH)端子付
■ 特性図