デノンは、1972年に世界で初めて実用化したPCMデジタルレコーダー「DN-023R」以来、デジタルオーディオ再生の技術、ノウハウを脈々と受け継ぎ、そして発展させてきました。DCD-A110は、110周年を記念する最新鋭のSACDプレーヤーとして、最新にして最高のアナログ波形再現技術「Ultra AL32 Processing」を搭載しています。独自のアルゴリズムによるアップサンプリング&ビット拡張処理により、PCM入力信号を1.536 MHz / 32 bitに変換。かつてない水準でのアナログ波形の再現、原音の再生が可能になりました。そしてD/A変換回路には、1chあたり2基、合計4基の差動電流出力型D/Aコンバーターを用いたQuad-DAC構成を採用。さらに、DAC出力以降のアナログオーディオ回路をフルディスクリート化し、SX1LIMITED譲りの高音質パーツとカスタムパーツを贅沢に使用したサウンドチューニングを行いました。筐体についても伝統のダイレクト・メカニカル・グラウンド・コンストラクションやSX1 LIMITED譲りのアルミ製トップカバー&フットを採用し、110周年記念モデルに相応しい高音質を実現しました。
主な特長
DCD-A110のディスクドライブには、上位モデルから受け継いだ「Advanced S.V.H.(Suppress Vibration Hybrid)Mechanism」を搭載しています。信号経路を極力短くし、回路を小型化することで、余分な電流やノイズを発生させない設計としています。メカカバーには剛性強化のための銅板、ディスクトレイにはアルミダイキャスト、メカニズムブラケットには2mm厚のスチールを採用するなど、さまざまなパーツに異素材を採用。高質量と共振点の分散化により、高い耐振動性を実現しています。また、メカニズムの低重心化によりディスクの回転による内部の振動を抑え、外部からの振動も効果的に抑制しています。不要な振動を排除することでサーボ関連の動作を最小限に抑え、不要な制御や消費電流も最小限となり、安定した条件下でディスクからデジタル信号を高精度に読み出すことができます。
DCD-A110は、デノンの最新アナログ波形再生技術「Ultra AL32 Processing」を搭載。Ultra AL32 Processingは、PCMデジタル入力信号に対して、前世代の2倍となる1.536 MHzへのアップサンプリングと32 bitへのビット拡張処理を行います。独自のビット拡張&データ補間アルゴリズムにより前後のデータの離散値からあるべき点を導き出し、本来のアナログ波形を再現する理想的な補間処理を行います。デジタル録音時に失われたデータを高い精度で復元することで、歪みのない繊細な描写、正確な音の定位、豊かな低域など原音に忠実な再生を実現しています。
DCD-A110は、より力強いサウンドと、より良い空間表現を実現するために、新たにQuad-DAC構成を採用しました。DCD-SX1 LIMITEDにも搭載されているステレオDAC「PCM1795」を左右チャンネルにそれぞれ2基(4ch)ずつ使用しています。Ultra AL32 Processingによりアップサンプリングされた1.536 MHzの信号を768 kHzに分割し、2基(4ch)の差動電流出力型DACに入力。片チャンネルあたり4chのDACを用いる並列構成により4倍の電流出力を得ることが可能になり、6dBに及ぶS/N比の向上とよりエネルギッシュなサウンドを実現しました。
デジタルオーディオ再生においては回路の動作の基準となるクロック信号の精度と低ジッターがパフォーマンスの鍵を握っています。D/Aコンバーターに供給するクロックの精度を最優先するために、D/Aコンバーターの近傍にクロック発振器を配置。DACをマスター、周辺回路をスレーブとしてクロック供給を行うことでD/A変換の精度を高めています。DCD-A110は、2つの超低ジッタークロック発振器(44.1kHz系 / 48kHz系)を搭載。ソースのサンプリング周波数に応じて切り替えることでジッターを徹底的に抑制しています。
DCD-A110は、DACの出力を受けるI/V変換アンプ回路と差動合成アンプ回路にOPアンプによるポストフィルター回路を使用せず、サウンドマネージャーが厳選した高音質パーツやSX1譲りのカスタムパーツを搭載したフルディスクリート回路を採用。ディスクリート構成としたことで、個々のパーツに至るまでの徹底したサウンドチューニングが可能となり、サウンドマネージャーの理想とするVivid&Spaciousなサウンド、110周年記念モデルに相応しいパフォーマンスを追求することができました。
DCD-A110を理想的なサウンドに仕上げるために、音質担当エンジニアとサウンドマネージャーが試作と試聴を繰り返し、数多くの候補の中から厳選した高音質パーツを多数採用しています。さらにDCD-A110は、DCD-SX1 LIMITEDの開発過程においてデノン専用にチューニングされたカスタムコンデンサーを継承しています。また、信頼性が高く電流ノイズが極めて少ないメルフ抵抗をアナログオーディオ出力回路や電源回路に多数使用しています。
信号の性質の異なるデジタル回路とアナログ回路の電源をトランスから独立させた2トランス構成とすることで、相互干渉とノイズの回り込みを排除しています。また、DCD-2500NEに対して約5倍の出力を誇る高出力EIコアトランスによって一層の動作の安定化を実現しています。
DCD-A110は、アナログオーディオ回路用の電源ユニットにデノンカスタムの大容量(3,300μF)ブロックコンデンサーを採用し、アナログオーディオ回路に最適化したフルディスクリート設計を採用しています。パーツサプライヤーの協力により、長期に渡る試作と試聴を経て開発されたハイパワーなバイポーラ・トランジスタ、高音質電解コンデンサー、ポリフェニレンサルファイドコンデンサなどのカスタムパーツをふんだんに用いることで、クリーンで安定した電源供給を可能にし、重厚さと繊細なディテールが絶妙に調和したサウンドを実現しています。
機器内部を流れる繊細な音楽信号は、ディスクの回転や電源トランスによって発生する内部振動や、スピーカーからの音圧による空気の振動を受けることで品位が低下します。これらの影響を防ぐために、デノンは「ダイレクト・メカニカル・グラウンド・コンストラクション」と呼ばれる制振構造を設計しました。これは、振動源である電源トランスをフットに近づけて配置することで不要な振動を外部へと逃がし、周辺回路への影響を防ぐ構造です。また、最も質量の大きいドライブメカニズムを筐体中央部に配置し低重心化することで、ディスクの回転による内部振動を効果的に吸収し、外部からの振動の影響も抑制しています。さらに外部からの振動をシャットアウトするために、1.2mm厚のメインシャーシに1.6mm厚の鋼板を2枚重ねて補強することで、十分な耐振動質量を持つ高剛性なシャーシを実現しています。
DCD-A110は、SX1 LIMITEDの流れを汲むアルミ製トップカバーとフットを採用しています。パーツ単体としての性能だけではなくDCD-A110とのマッチングを慎重に吟味し、試聴を繰り返して素材や形状、仕上げが決定されました。外観上の美しさを高めるとともに開放的で透明感に優れるサウンドにも大きく貢献しています。
CDやスーパーオーディオCDの再生に加え、DVD-R/-RWやDVD+R/+RWに記録したDSD(2.8 MHz / 5.6 MHz)、最大192 kHz / 24 bitまでのハイレゾ音源を含む音楽ファイルの再生に対応しています。CD-R/-RWでは、サンプリング周波数48 kHzまでのファイルを再生することができます。
オーディオ特性
スーパーオーディオCD | CD | |
チャンネル | 2チャンネル | 2チャンネル |
再生周波数範囲 | 2 Hz ~ 100 kHz | 2 Hz ~ 20 kHz |
再生周波数特性 | 2 Hz ~ 50 kHz(-3 dB) | 2 Hz ~ 20 kHz(±0.5 dB) |
S/N比 | 122 dB(可聴帯域) | 122 dB |
ダイナミックレンジ | 118 dB(可聴帯域) | 101 dB |
高調波歪率 | 0.0005 %(1 kHz、可聴帯域) | 0.0015 %(1 kHz) |
ワウ・フラッター | 測定限界以下 | 測定限界以下 |
出力レベル | 2.0 V(10 kΩ) | 2.0 V(10 kΩ) |
入出力端子
アナログ音声出力端子 | アンバランス出力×1 |
デジタル音声出力端子 | 同軸デジタル出力×1、光デジタル出力×1 |
その他 | リモートコントロール入出力×1 |
総合
外形寸法(W × H × D) | 434 x 138 x 405 mm |
質量 | 16.5 kg |
電源 | AC 100 V、50 / 60 Hz |
消費電力 | 42 W |
待機電力 | 0.1 W以下 |
付属品 | かんたんスタートガイド、取扱説明書、リモコン、単4形乾電池×2、オーディオケーブル、電源コード |
保証期間:5年
発売日:2020年10月上旬