新たなデノンのフラッグシップCDプレーヤーであるDCD-SX1。そのハイパフォーマンスを支える根幹が新開発されたオリジナル・ドライブ・メカニズム「Advanced S.V.H. Mechanism」です。
デジタル回路が進歩し音の再現力が上がるほどに、機械としての繊細さは増し、振動に対して敏感になります。DCD-SX1では、ドライブ・メカニズムを支えるアルミ砂型鋳物ベースなど、入念な振動対策を行うことにより、ディテールの表現力や音場の安定感を高めています。このアルミ砂型鋳物ベースは、その大きな重量と優れた内部損失により、振動による音質への影響を徹底的に排除します。
安定感のある、よりしっかりとしたサウンドを実現するために、ヒアリングテストを繰り返して厳選した新型D/A コンバーターを採用し、その周辺回路を大幅に見直しました。
最終的な音質は、ドライブ・メカニズムを構成する素材やハウジングの形状からも影響を受けます。フラッグシップモデルにふさわしい音質を求め、試行錯誤を重ねた結果、DCD-SXのハイブリッド・メカリッドのサウンド傾向をモチーフに新たにチューンを行いました。上部のアルミブロックと下部のステンレス・クランパーで銅メッキスチールプレートをサンドイッチしたハイブリッド・メカリッドを採用。メカニズムの剛性向上と制振効果によってDCD-SX1の音質向上に大きく貢献しています。
Advanced AL32 Processingの効果を最大限に引き出すため、もう一つのデノンのオリジナル技術であるDAC Master Clock Designをさらに進化させました。D/Aコンバーターに供給するクロックの精度を最優先するために、D/Aコンバーターすぐ近くにクロックモジュールを配置。DACをマスターとして周辺回路へクロック供給を行うことで、デジタル回路の高精度な動作をサポートします。さらに、DCD-SX1では44.1kHz系と48kHz系の2系統のクロックモジュールを搭載し、CDのみならず、PCやUSBメモリーから入力される多様なサンプリングレートの信号に対応。再生する音楽信号のサンプリングレートに合わせて最適なクロックを使用することにより、ジッターの原因となるクロック分周時の誤差を排除しています。
L/Rチャンネルそれぞれに専用のD/Aコンバーターを搭載し、HOT、COLDそれぞれを差動出力するモノモードで使用しています。DACの電流出力を受けるI/V(電流/電圧)変換回路とポストフィルター回路はフルバランス構成を採用。チャンネルセパレーションに優れ、歪みやS/Nなどの特性においても理想的な回路構成といえます。また、アンバランス出力回路についても、D/Aコンバーターの差動出力を合成して出力する差動ドライブ構成としています。さらに、銅箔PPSコンデンサーや最高級グレードのオーディオ用電解コンデンサーなど、DCD-SXに匹敵する高音質パーツを用いて徹底的なサウンドチューニングを行っています。
いかにオリジナルのアナログ音源に近い音を再現するか。これはデノンが長きにわたり、デジタル再生においてもっとも強くこだわってきたテーマであり、それを形にしたのがビット拡張&データ補完によるアナログ波形再現技術「ALPHA Processing」です。DCD-SX1には、その最新バージョンである「Advanced AL32 Processing」を搭載しています。16bitの音楽信号を32bit精度にアップコンバート処理するハイビット化処理に加え、時間軸方向の情報量を拡大するために44.1kHzの信号を16倍にアップサンプリング。このときに単純な補間処理を行うのではなく、連続的に変化する音楽信号から本来あるべきデータを推測し、デジタル変換の過程で失われた本来のアナログ信号の滑らかな波形を再現します。DCD-SX1では、そのパフォーマンスを十分に発揮できるようにクロック回路、D/A変換回路をはじめ、すべての回路にチューニングを加えています。
微妙なニュアンスの表現を求められるこのクラスのプレーヤーでは回路パターンの設計も重要なファクターとなってきます。デノンでは常に信号ラインが最短になるように基板設計を行い、信号伝送時のロスを最小化。さらに外部からの影響による音質劣化も防いでいます。
DCD-SX1は、安定したクロック生成のためにモジュールタイプのクロックを採用しています。クロック回路をモジュール化することで、外部からのノイズの影響を排除。また、電源回路も他の回路から独立した専用電源とすることで、干渉を排除し、安定した動作を実現しています。これは、DCD-SXから受け継がれた設計技術です。しかしながら、その性能はDCD-SXの開発時に比べはるかに進化しました。精度が大幅に向上したばかりでなく、位相ノイズレベルが10分の1という高性能な水晶発振子を採用。そして、DCD-SXでは恒温回路を設けクロック回路の動作の安定化を図っていましたが、DCD-SX1ではクロック回路の設計を全面的に見直し、恒温回路を使わずとも安定した動作を実現しました。
D/A変換回路とアナログオーディオ回路の電源部には、新規設計されたデノン・オリジナルの大容量ブロックコンデンサーを採用。入念なサウンドチューニングにより、デノンの新しいフラッグシップモデルにふさわしいエネルギー感と緻密さを高次元で両立したサウンドをサポートしています。
堅牢なドライブ・メカニズムや電源トランス、シャーシの大きな重量を支えるフットには、一切の妥協を排し、DCD-SXと同等の鋳鉄製フットを採用しました。接地面にフェルトを用いることで、防振効果をさらに高めています。
L.C.(Leakage Cancelling)マウント・ツイントランスはデノンが誇る高音質設計手法のひとつです。磁界が逆向きになるように2つのトランスを取り付けることで、互いの漏洩磁束がキャンセルされる効果的な配置になっています。DCD-SX1では、2つのトランスをデジタル回路用とアナログ回路用に使い分けることで、相互干渉やノイズの回り込みを排除しています。取り付け台座には、ドライブ・メカと同様にアルミ砂型鋳物ベースを使用。高い内部損失により、不要な振動を素早く減衰させ、周辺回路への伝搬を防止します。
トップカバーも音質を左右する部品の一つです。肉厚なアルミプレートを組み合わせ、その下に交差するように取り付けられた美しい銅メッキスチールプレートが剛性を向上するとともに共振を防止。フラッグシップモデルにふさわしい上質な外観とサウンドを演出するマテリアルと構造となりました。
ディスクの回転や電源トランスにより発生する内部の振動や、スピーカーの音圧による空気振動がもたらす音楽信号の劣化。これらを効果的に防ぎ、繊細な音楽信号を守るにはどうしたら良いか、このテーマに対して、DP-S1そしてPOA-S1の開発以降、デノンがこだわり続けてきた振動抑止構造が「ダイレクト・メカニカル・グラウンド・コンストラクション」です。自らが振動体でもある電源トランスをフットの間近に配置することで、振動を直接グラウンドへと逃がし、周辺回路への不要な振動の伝搬を防止しています。また、もっとも大きな質量を持つパーツであるドライブ・メカニズムをシャーシ中央の低い位置に配置することで低重心化を図り、ディスクの回転による内部的な振動や外部から受ける振動にも強い構造を実現。さらに、ボトムには3枚のスチールプレートを追加することで、圧倒的なシャーシ剛性と十分な質量を持たせ、外部からの振動エネルギーを遮断しています。
DSD入力は2.8MHz/5.6MHzに対応。伝送方式はASIOドライバーによるネイティブ再生とDoP (DSD over PCM Frames)に対応しています。PCM入力は最大192kHz/24bitまで対応。また、PCM入力信号は、CDの音声と同様にAdvanced AL32 Processingにより、ハイビット&ハイサンプリング化されます。PCのクロックを使用せず、DCD-SX1のマスタークロックで制御を行うアシンクロナス転送により、ジッターフリー伝送を実現しています。
PCから供給されるデータに混入するノイズ成分を完全にカットするアイソレート機能「PC Pure Direct」を搭載。信号ラインは高速なデジタルアイソレーターによって、さらにグラウンドもリレーによってPCとの電気的な結合を完全に遮断。ノイズを含まない音声信号のみがトランス結合のアイソレーターを通して伝送される回路構成となっています。PC接続時は、USB-Bインターフェースとデジタル信号処理回路が、同一基板上にありながらも電気的に切り離され、PCノイズの流入を完全に排除します。さらに、周辺回路への高周波ノイズの輻射を抑えるために、デジタル回路全体を銅メッキスチールプレートによるシールドケースに封入しています。
DCD-SX1は、ただ単に見た目の美しさを優先してデザインされたのではなく、そのスタイリングには理由があります。剛性向上のために使用されるアルミ素材がエレガントな質感を演出し、制振性向上のための低重心設計が安定感の高いフロントパネルデザインに結びついています。そのすべては、デノンの技術者たちが創り出した機能美と言えるでしょう。
iPodやiPhoneなどのiOSデバイスやUSBメモリーを接続して音楽を楽しめるUSB入力は便利なものですが、使用しないときにはフロントパネルの端子がいささか気になるかもしれません。デノンでは、フラッグシップモデルとしてのデザインを熟考した結果USB-A端子をリアパネルに配置しました。頻繁に装着と取り外しを行うユーザーのために、USB延長ケーブルをプレゼントとして同梱いたします。
光、同軸それぞれ1系統のデジタル入力端子を装備。最大192kHz/24bitのPCM信号に対応しています。
電源の切り忘れを防止するためにオートスタンバイ機能を設けました。使用後、30分以上操作をせずに放置しておくと自動的にスタンバイモードに入り余計な電源の消費を防ぎます。この機能はON/OFFの設定が可能です。
デノンでは、ユーザーがより快適に扱えるリモコンを実現するために、様々な調査、分析を行いました。DCD-SX1では、ボタンの名称と配列を改め、”直感的に使える“リモコンとしました。アルミ製のエレガントなデザイン、感触はそのままに、使いやすさの向上を目指しました。