増幅回路には、「DA-310USB」と同様に、Qualcomm®のデジタルアンプソリューション「DDFA™」の最新バージョンを採用。DDFAは、高速かつ極めて精度の高いデジタル・フィードバック・ループを用いることにより、これまでのClass Dアンプの課題であった歪の多さや電源変動による音質劣化を克服し、Class Dアンプとして抜きん出た特性を実現しています。最新世代のDDFAは、従来2チップ構成だったPWMモジュレーターとフィードバックプロセッサーが1チップ化されたことによって周辺回路がシンプルになり、より音質を優先した回路設計と部品の選定が可能になりました。電力を増幅する出力段やローパスフィルターにはデノン独自のノウハウを詰め込んだディスクリート回路を用い、サウンドマネージャーによる徹底したサウンドチューニングを施しています。
DDFAはデジタル入力型のClass Dアンプであるため、デジタルソースを再生する際にはPMA-60への入力から、「Advanced AL32 Processing Plus」による補間処理※、ボリューム調整、増幅、フィードバック処理まで、すべてをデジタルドメインで行うことが可能です。これによりアナログアンプで問題になる外来ノイズの影響を排除することができ、透明感、分解能に優れた空間の描写を可能としています。
※Advanced AL32 Processing PlusはPCM信号にのみ対応しています
ヘッドホンでも高音質な音楽再生を楽しめるように、スピーカー出力用パワーアンプとは別にヘッドホン出力専用アンプを搭載。電圧増幅段にはハイスピード&ローノイズな高速オペアンプ、出力バッファーにはディスクリート回路を用い、ヘッドホンのパフォーマンスを十分に引き出します。また、300Ωや600Ωなどのハイインピーダンスなヘッドホンでも最適な音量が得られるように3段階のゲイン切り替え機能を搭載しています。
※ ヘッドホンのプラグを差し込むと、スピーカー端子から音が出なくなります。
音量は、1dBステップで精密な調整が可能です。デジタルドメインで処理を行うため、左右チャンネルの音量差を生じるギャングエラーやクロストークを完全に排除することができます。
PCM 384 kHz / 32 bit信号の入力に対応した、デノン独自のデータ補間アルゴリズムによるアナログ波形再現技術の最新バージョン「Advanced AL32 Processing Plus」を搭載。進化した独自のアルゴリズムによって補間ポイントの前後に存在する多数のデータからあるべき点を導き出し、限りなく原音に近い理想的な補間処理を行います。デジタル録音時に失われたデータを精巧に復元することで、歪みのない繊細な描写、正確な音の定位、豊かな低域、原音に忠実な再生を実現します。
Advanced AL32 Processing Plusなどの処理を行うFPGAの近傍に配置した超低ジッタークロックから供給されるマスタークロックでFPGAとUSBデジタルオーディオインターフェースを動作させるマスタークロックデザインを採用。品質の高いマスタークロックにより各デジタル回路を正確に同期させることにより、ジッターを抑えた高品位な再生を実現しています。さらに、44.1kHz系、48kHz系の2系統のクロックを入力信号のサンプリングレートに合わせて切り替え、最適な周波数のクロックを供給。非整数倍の分周によるジッターを排除することにより、時間軸方向での波形の揺らぎを抑え、理想的な信号処理をおこないます。
USB-DAC機能は、DSD 11.2 MHzおよびPCM 384 kHz /32 bitの入力に対応しています。DSDの伝送方式はASIOドライバーによるネイティブ再生とDoP (DSD over PCM Frames)をサポート。また、PC側のジッターを多く含んだクロックを使用せず、PMA-60の超低位相雑音クロック発信器によって生成されるマスタークロックで制御を行うアシンクロナスモードにも対応しています。
テレビやCDプレーヤーなどデジタル機器を接続できる光デジタル入力を2つ、同軸デジタル入力を1つ装備しています。最大192 kHz / 24 bitのハイレゾ音源の入力に対応しています。
USB-B入力に接続されたPCから流入する高周波ノイズによる音質への悪影響を排除するために、高速デジタルアイソレーターを搭載。ICチップ上に組み込まれたトランス・コイルを介して磁気により音楽データのみを伝送し、繊細なオーディオ信号に影響を与えるノイズはシャットアウトします。
デノンの新世代Hi-Fiコンポーネントである「NEシリーズ」にも採用されているオーディオ用電解コンデンサーや抵抗器、フィルムコンデンサーなどを多数採用しています。サウンドマネージャーによる試聴を重ねてPMA-60に最適なパーツを選定。さらに音質を磨き上げるために、電解コンデンサーにはパーツメーカーと共同開発したカスタムパーツを投入しました。
iOSデバイスやAndroidスマートフォンなどからワイヤレスで音楽が楽しめるBluetooth機能を搭載。標準オーディオコーデックのSBCに加え、より高音質なAAC、さらにQualcomm®による高音質・低遅延コーデック「aptX™ Low Latency」にも対応しているため、迫力ある音で音楽やゲームをお楽しみいただけます。NFC機能にも対応しており、PMA-60のNFCマークに対応Bluetooth機器をタッチするだけでペアリングや接続ができます。最大8台の機器とペアリングできるため、お持ちのスマートフォンやPCを一度登録すれば、再生のたびにペアリングしなおす必要はありません。Bluetooth機能をオフにして音質に影響を与えるノイズを抑えることも可能です。
本機で音楽を再生できるのはBluetooth接続している機器のうち1台のみですが、同時に3台のBluetooth機器を接続しておくことができます。よく使う機器を接続しておくと、再生する機器を切り替えるときに接続し直す手間がいらず便利です。
ボリュームノブを除く幅、高さ、奥行きが同一のDCD-50と組み合わせればCDもAdvanced AL32 Processing Plusを用いた高音質再生が可能です。
本機は縦置きと横置きのどちらにも対応しているため、スペースが限られるデスクトップでも本格的なオーディオシステムを構築できます。縦置き時には、ねじ込み式のフットを付け替えることができます。また、本体の向きに従ってディスプレイ表示が自動的に回転します。
本体上下のパネルには3mm厚のアルミニウムを使用し、剛性を向上。外部振動による音質への影響を抑えています。表面仕上げはサンドブラスト加工により上品かつプレミアムな質感を実現しました。
入力ソースや音量などを表示するディスプレイには視認性に優れた有機ELディスプレイを採用しています。ディスプレイの輝度は部屋の明るさに合わせて3段階で調整することができます。
その他の特長
オーディオ特性
定格出力 25 W + 25 W (8Ω、1 kHz、THD 0.1 %、両チャンネル駆動)
50 W + 50 W (4Ω、1 kHz、THD 1.0 %、両チャンネル駆動)
出力端子 スピーカー:負荷 4~16Ω
ヘッドホン:Φ6.3mmジャック
全高調波歪率 0.004 %(Digital In、定格出力、-3 dB、8Ω、1 kHz)
S/N比 110 dB(Digital In、25 W、8Ω、1 kHz、IHF-A)
入力感度 / 入力インピーダンス AUX:0.13 V / 22 kΩ
入出力端子
アナログ音声入力端子 アンバランス入力×1
デジタル音声入力端子 USB-B入力×1、同軸デジタル入力×1、光デジタル入力×2
Bluetooth部
バージョン 3.0
対応プロファイル A2DP 1.3、AVRCP 1.5
対応コーデック aptX Low Latency、AAC、SBC
周波数帯域 / 送信出力 / 最大通信範囲
2.4 GHz 帯域 / 最大2.5 mW(Class2) / 約10 m (見通し距離)
※実際の通信範囲は機器間の障害物、電子レンジの電磁波、静電気、コードレスフォン、受信感度、アンテナの性能、操作システム、アプリケーションソフトウェアなどの影響により異なります。
総合
外形寸法(W × H × D) 200 x 86 x 258 mm(横置き時)
80 x 206 x 258 mm(縦置き時)
質量 2.7 kg
消費電力 35 W
待機電力 0.2 W
付属品 かんたんスタートガイド、取扱説明書、リモコン(電池内蔵)、キャップ(シルバー)×4、USBケーブル、電源コード